「環境」に働きかけることで「行動」は変容する

先日の「第13回日本臨床発達心理士全国大会」の「還流」です。

今回は記念講演「応用行動分析の活用」で学んだことです。(以下、あくまでも私的な感想です。)

これは前々から思っていることですが、「発達障害」=「不適応」ではありません。
何らかの条件のもとで生まれてくるのです。

環境との相互作用で「行動」が生まれるという考え方をすることによって、「不適応」行動を適切な行動に改善することができるといえるのです。

そのためにはいくつかのアセスメントが必要になります。

①機能的アセスメント
ABC分析を行い、その行動の「機能」を考えます。問題行動であっても、本人にとっては必要不可欠な行動であることも多いのです。

②生態学的アセスメント
行動は環境との相互作用で起こります。行動が起きる物理的・人的な要因を特定することも必要です。ある行動が、いつ・どこで・誰となら起きるのかを特定できると、その子だけへの支援では解決できなかったことが、「環境」への働きかけ(支援)で解決できる・行動を替えることができます。

③好みのアセスメント
その子に応じた強化子を探ることが大切です。その子の「生活自体」が豊かになる強化子を見つけることが大切だと言えます。

④生活様式アセスメント
行動が起きた場面だけでなく、それまでの数時間で何があったのかを振り返る。また、その子の一週間の生活リズムや一日の流れの中に要因があるのかもしれないと探ることも必要です。

⑤生活史(行動の歴史)アセスメント
周りの人にとって「不適応行動」になってきた経緯を明らかにすることで対応策が見つかることもあります。

「不適応行動」に対して、事後的対応(注意する)では改善することは望めません。環境に配慮する(予防的対応)、適切行動を増やす(建設的対応)ことで初めて可能になるといえます。
支援者や周りの環境が「不適応行動」の要因となっている可能性もあると自覚すること、行動の「善悪」ではなくその「機能」に着目することが大切なのだと改めて感じる内容でした。

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人生初の一等賞

6年生のYくん(ダウン症)の最後の「運動会」でした。
そして私にとっても、教員生活最後の「運動会」でした。
徒競走は100m。
これまでは、10mほどのアドバンテージをもらって参加するもダントツの最下位。
今回は、交流学級の担任の提案で、ゴールで競り合うぐらいのアドバンテージをもらうことになりました。もちろん、クラスの子どもたちも了承済み。

スタートラインに立つと、ぽつんと1人だけ前に入る感じでした。

そして出発の音!

あっという間に、大きな差は縮まっていきます。

ゴール間近は、Yくんを応援する大きな歓声で沸いています。

さすがに、今回も・・・と思った瞬間

Yくんのギアがオーバートップに入ったのです。

今まで見たことのないスピードで、

Yくんは笑いながらゴールテープを切ったのでした。

会場は、大きな歓声が続いていました。
応援しに来てくれた、保育園時代の先生も、放課後デイの友だちも、自分のことのように喜んでくれていました。

Yくんにとっても、Yくんのご家族にとっても、私にとっても、
生涯忘れることのない、「瞬間」になりました。

もしかすると、人生には、誰にも「輝かしい瞬間」が用意されているのかもしれません。

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「学習性無力感」について

長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなる。

そのような無気力状態を「大人・教師」が教え込んでしまうことがある。

これを「学習性無力感(Learned helplessness)」と言うそうです。

今日、受講した研修会で話された話題の一つです。

巡回訪問で、このような状態のお子さんに出会うことがありました。その子のせいでないことは、確かにわかってはいたのですが、この用語を今まで知らなかったので、調べてみました。

自己評価」「自己有用観」「自尊感情」を低下させ、「無気力」にしているのは、もしかすると「支援者」を名乗る人なのかもしれません・・・

以下、いくつかのサイトからの「引用」です。

  米国の心理学者であるセリグマンら(1967年)によると「回避不能な嫌悪刺激にさらされ続けると,その刺激から逃れようとする自発的な行動が起こらなくなる」という。

セリグマンらは,犬を使った次のような実験を行った。

 ボタンを押すと電気ショックが止められる装置のついた場所に犬を入れます。また,もう一匹の犬は,何をやっても電気ショックを止めることのできない場所に入れ,両者の行動を観察するというもの。その結果,前者の犬は,ボタンを押すと電気ショックを回避できることを学習し,自発的にボタンを押すようになった。しかし,後者の犬は何をやっても回避できないため,ついには何も行動しなくなり,甘んじて電気ショックを受け続けるようになった。

 続いて,両者ともに,あらためて,電気ショックを回避できる部屋に移動して実験を続けたところ,前者の犬は,回避行動を自発的に行ったのに対し,後者の犬は,回避行動をしようとはしなかった。

 つまり、できることでも,しようとしない「無気力状態」に陥ったと考えられる。これら一連の実験結果から,セリグマンは「無気力状態」が学習されるものであることを発見し,この現象を“学習性の無力感”と呼んだ。

 その後,セリグマンは,この理論を人間の行動に当てはめて考察し、“学習性の無力感”を獲得してしまうと,次のような問題が生じることが分かってきた。

・周囲の環境に対して,自発的な働きかけをしなくなる。

・成功体験を学習することが困難になってしまう。

・苛立ちなど,情緒的に不安定な状態を引き起こす。

  セリグマンの犬の実験では,嫌悪刺激として電気ショックを用いたが,人間の場合には,身体への嫌悪刺激だけではなく,心理的な嫌悪刺激が無気力状態を引き起こすと考えられている。

 否定的な言葉や態度だけではなく,学校で繰り返される理解できないのに強制される「授業」「演習」「テスト」「補習授業」などは,嫌悪刺激となる。

 この点を十分に認識しておかないと,学校が「無力感の学習の場」になってしまう。なお,嫌悪刺激からの回避行動は,授業逃避や立ち歩き,さらに,教師に対する暴力的な言動等の問題行動として現れることがある。このような現象が見られた場合,強力な「指導力」で問題行動を抑制することになる。この問題行動が実は「回避行動」であるならば,その抑制に表面上成功したとしても,「セリグマンの犬」が出現することになる。一見すると,おとなしく,甘んじて嫌悪刺激を受け続けるので「学校が落ち着いてきた」ように見える。しかし,深刻な問題を抱えていることには変わりはない。「学ぶことへの意欲をなくす」ことを教育機関が行っているとすれば,大きな問題である。

以上引用

ではどうするのか?「成功体験」と「社会的絆」が重要だということです。これについては別の機会に・・・

 

 

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バトンタッチ

本年度で「退職」します。

たくさんの素敵な「後進」たちに後を託します。

先日の宮古島での「サンセットシーカヤックツアー」でご一緒した方は、
本年度新規採用された小学校教諭のルーキーでした。

多くを語ることはできませんでしたが、このこともとても印象的だったのです。

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10年前と何が変わったのか?

就学相談や巡回相談の最後の1年で思うことがたくさんあります

この10年で何がどう変わったのか・・・

子どもたちにとって「すごしやすい」学校に、教室になったのか・・・

「わかる・楽しい」学びが保障できているのか・・・

子どもたちの「多様性」は認められているのか・・・

若い先生たちに、大切なことが伝えられているのか・・・

現場の「多忙化」をどう解消するのか・・・

このあたりのことをきちんと振り返らなければいけないと強く思う一日でした

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