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2008年1月

爪をかむ癖

「爪をかむ癖をなくしたいのだが」という相談がありました。

爪がどんどんなくなっていって、深爪になっているのを見かねて、ということだと思います。

子どもに「~をやめさせたい」という願いを持つことはよくあることですが、ここで少し考えて欲しいのが以下の数点です。

a なぜその行動をしているのか?

b どんなときにその行動をしているのか?また、していないのか?

c その行動は子どもにとってどんな意味があるのか?

d その行動をなくしたとき子どもはどうなる(と予想される)のか?

e その行動の替わりにどんな行動をさせようとしているのか?             

もちろん、異食や自傷行為のような直接大きなマイナスやダメージが子ども自身に及ぶものはできるだけ早い時期に他の行為に替えていくべきなのは当然です。

では、爪かみではどうでしょう?もしなくしていくのであれば、どのようにしてなくす方法がベストなのでしょうか。

例えば、簡単な方法として爪かみや指しゃぶりをなくすための薬剤を指に塗るという方法について考えて見ましょう。

私は今まで使った事がありませんが、かなりの「にがさ」らしいです。強烈な「嫌子」になります。簡単に爪かみはなくなるでしょう。

これで、おしまいなら苦労はありません。それまで爪かみという行為で「緊張を緩和していたとしたら」「ストレスを発散させていたとしたら」「それ以外にすることが無かったからとしたら」・・・

「爪をかむ」ことよりも大きな「不適応行動」が起こる可能性があります。

では、どのようにしていけばよいのでしょう。

ABA(応用行動分析)では機能分析を簡単なチャートを使って行います。このチャートには、時間と子どもの行動、そして先行条件と後続条件を書き込むだけです。

行動をより詳しく分析することによって、おのずから解決法が見つかるといえます。

ぜひ、試してみてください。

基本的なチャートはこちら 「F.A.chart.xls」

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発達障害の子どもたち  講談社現代新書

発達障害の子どもたち    杉山登志郎著・講談社現代新書

著者はこの本に書かれたことが行き渡れば、

「発達障害の社会的な適応は著しく改善し、障害児とそのご両親はより幸福になる・・・(はずである)」とあとがきで述べています。

いささか書きすぎの感はありますが、発達障害児にかかわる保護者や療育・教育関係者が本書に書かれている「根本的で重要な問題」をきちんと理解し、ていねいな取り組みを行うことは、発達障害児の成長・発達にとって大変重要であると思います。

また、本書は発達障害に関しての入門書でありながら、新しいことをいくつも発見する事ができる本です。

私は、学校教育にかかわる者として、本書に紹介されている対照的な事例は決して人事のように感じられませんでした。また、特別支援教育の現在の問題点を解決する方向で何らかの行動を起こさなければとも思いました。

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ABC分析編(2)

ABC(ABCDEH)分析の方法について

まず仮説を立てよう!

なぜ行動問題が起きるのか?または起きないのか?

  行動問題がどんな時に起きやすいか・起きにくいか

  適切な行動との関係

  行動問題の役割(機能・目的・意味)を考える

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ABC分析編(1)

ABA(応用行動分析)について ABC分析編(1)

今回は2月の研究集会のレポートで具体的なABC分析について報告する予定なので、ABC分析の基本についてまとめます。(レポートの内容ではありません。)

ABC分析とは

Antecedents (先行条件) 「どんなときに」

Behavior    (行動)    「どんな(適切・問題)行動が起き」

Consequences (結果事象) 「その結果どうなったか」

の3つで(適切・問題)行動を分析することです。

なぜそのような行動を起こすのかをきちんと理解する事が、適切な働きかけにつながり、適切な行動の形成にもつながります。

スーパーのお菓子売り場でダダをこねている子を分析してみてください。

A お菓子のたなの前にいるとき

B ひっくりかえって泣き叫ぶ

C お菓子を買ってもらえる

とてもわかりやすいですね。こういうように分析したら、問題を解決する・行動を変容させるためには、AかCになんらかの変更を与えればいいわけですね。

実際に、こまった行動を具体的にきちんと分析することは大切なことです。

子どもの行動だけでなく、保護者・支援者としても自らの行動をABC分析してみてください。案外変容させなければいけないのは私たちかもしれないのです・・・

ABC分析をより機能的にしたものに

ABCDEH分析というのがあります。

Aの先行条件を

Discriminaive stimulus (弁別刺激)と

Establishing operations(確立操作) setting Events(状況事象)に分けて分析し

一連の分析に

Histry(歴史) 行動の成り立ち(歴史)やその行動と環境との過去の相互作用パターン

を加えたものです。

ABC分析についても続きを書いていきます。

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ABA(応用行動分析)について6

ABA(応用行動分析)について6

コミュニケーション手段を獲得させるためには

① 獲得する事が比較的簡単である

② 聞き手によって社会的な正の強化を得やすい

この2点の基準が理想的であるということです。

できるだけ私たちはこの基準にそった取り組みを行っていくべきです。

コミュニケーション行動は以下のように特徴付けられます。

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「自閉症」日本評論社

1999年初版の本ですので、最新の情報というわけにはいきませんが、著者はそうそうたるメンバーです。

ファーストネームだけでも、中根・太田・杉山・内山・谷・小林・・・

内容は著者からも推測できますね・・・そう!All About Autismです。

おまけに、この本、近所の「ブック○フ」で105円! 

大手チェーン系の古本屋さんには、結構お宝が眠っています。

そういえば、この前に紹介した。

「感じない子ども、こころを扱えない大人」 袰岩奈々 集英社新書

も「ブック○フ」でした。

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「おやごさん」に学ぶ(2)

ハルヤンネさんという「おやごさん」も私の尊敬するおやごさんのお1人です。

「おめめどう」という障害支援サポート会社をたちあげられてご活躍です。

おめめどうショップにはすぐに使えそうなサポートグッズがいっぱいです。

以前このブログで紹介した、アマゾンのリストマニアでもこの方の著書「ダダくんの11の不思議」をお勧めさせていただきました。

「おやごさん」にも「サポーター」にもたいへん参考になると思います。

HPはこちら

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ABA(応用行動分析)について5

ABA(応用行動分析)について5

5 タクト(叙述言語行動)

ことばは難しいですが、つまり「犬」を見て「ワンワン!」とか「いぬ!」ということです。そして、そばにいる人が「そうね」とか「ワンワンだね」と答える(般化強化刺激)ことによって強化される言語行動です。

タクトについてはマンドに比べると「出にくい」といえます。要求が伴わない言語行動をどのような場合に行うのか考えてみます。

(1)返答

「これは何?」や「○○ちゃんは何をしたの?」という質問(弁別刺激)を行った時に、「ワンワン」や「ぶらんこ」というように「返答」をすること。

(2)報告 

聞き手が見ていないことを知らせる事。しかも、聞き手がそのことに関心をもっていること。例えば、雑誌を見ていて母親が好きな「ヨンさま」の写真があったら、母親に「ヨンさま」と言うこと。父親には「ヨンさま」とは言わないこと。

(3)告示

いつもとは違う状況を伝えること。例えば、室内にいる母親に「花(が咲いた)」と知らせること。このことによって母親が「本当!きれいね」というような新たなタクトを引き出すということ。これは会話を開始させる機能を持っています。

単なる語彙の学習だけではコミュニケーション行動は形成されるものではなく、さまざまな「文脈」(状況)に応じた適切な言語行動を学習することによって形成されるといえます。

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「おやごさん」に学ぶ(1)

「おやごさん」に学ぶ(1)

随分以前から、全国の自閉症スペクトラム児を持つ「おやごさん」に直接または間接的に多くのことを学ばせていただいています。

特別支援学級で担任をさせていただいても、複数の子どもさんを担任するので、残念ながら1人の子どもさんと直接関われるのはあまり多くの時間ではありません。しかし、1人ひとりの子の特性に合わせた対応や指導、教材の作成などに「待った!」はききません。困った事を、昔はニフティの「自閉症フォーラム」の「会議室」で相談にのっていただいたりしました。今はHPやブログを参考にさせていただく事もたくさんあります。

子育てをHPやブログで紹介されている多くの「おやごさん」は、私たち教師以上に多くのことを学ばれ、具体的な取り組みをされている方もたくさんみえます。

最近、「千里の道もどこまでも」というブログに出会うことができました。高機能自閉症児のお父さんja12cさんが作られているブログです。

このブログには、たいへん解りやすい自作の絵カードがたくさん紹介されています。日常生活な様々な場面ですぐに使えるものばかりです。

絵カードが有効なお子さんをおもちの方にはお勧めです。

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育てたように子は育つ

「育てたように子は育つ」 相田みつを書 佐々木正美著 (小学館文庫)

ご存知、相田みつをさんの書に佐々木正美さんが解説をつけたものです。最近文庫化されました。

佐々木正美さんのヒューマニティーあふれる語り口については以前にも書きましたが、この本の中でも随所に感じる事ができます。

これは「子育て」の書として企画されたものですが、大人たちの生き方の書でもあると思いました。

「つまづいたって いいじゃないか 人間だもの」 この解説に佐々木さんは、

ノースカロライナ大学のメジホフ教授の

「There are no mistakes. Tere are only lessons」ということばと

ミヒャエル・エンデの

「試験の答案に要求されるようなことなどみんな忘れたって、学はなかったということとは全然違うのだ」ということばを紹介し、

ご自身は、「人生に出発は、何度あってもいい」と書かれています。

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感じない子ども、こころを扱えない大人

「感じない子ども、こころを扱えない大人」 袰岩奈々(ほろいわなな) 集英社新書

心理カウンセラーの著者が現代の子どもや親の「こころ」について的確に分析を行っている本です。

「気持ちの扱い」が苦手な子どもたちが増えている今、どのような取り組みが必要か丁寧に述べられています。

本来子どもは小学校入学までに、きちんと「快―不快」の感情が理解でき、それにうまく対応できるようになるべきなのに、それができないまま「善―悪」や「正―誤」が知識として扱われる世界に入ってきている。と著者は今の子どもたちの抱えている本質的な問題をこのように分析しています。いわゆる「小1プロブレム」を「こころ」の面から考える際に大変参考になります。

このような子どもたちには「~するべきだ」という知識としての道徳よりも、感情から「~したくなる」という「実感」を大切にするべきであると述べています。

大人も現代社会の中で「感情をあとまわし」にしてきたために、「不快な感情への耐性」がなくなっているとも分析しています。

ネガティブな感情に対してそれを押し込めるのではなく、しっかりと向かい合うことが大切であるということです。

クラスにいる「困った子」や発達障害を持つ子に対して、どのようにソーシャルスキルを身に付けさせるかを考える時にも参考になると思いました。「善―悪」で知識として判断させる前に、本人や周りの子の「気持ち」をはっきりさせながら、どのような行動が「快」なのか「不快」なのかを理解させていくことを大切にしていきたいものです。

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ABA(応用行動分析)について4

ABA(応用行動分析)について4

4 要求言語行動(マンド)

a 基本的なマンド

マンドとは、強化刺激が与えられたり(正の強化)、嫌悪刺激がなくなったり(負の強化)ことにより増えてくる言語行動です。

のどが渇いたら「ジュース」や「お茶」と言うことは、それらを与えられることで強化されます。もちろん「~ちょうだい。」「~して。」も同じです。(正の強化)

いやなことをされていて「いや」「やめて」と言うことは、嫌なことがなくなることで強化されます。(負の強化)

これらは、生理的な強化刺激なので「一次的強化刺激」と呼ばれています。

これらの基本的なマンドを自閉症スペクトラム児などに獲得させるための取り組みについては、「療育・教育」の項で今後くわしく述べていきます。

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ABA(応用行動分析)について3

ABA(応用行動分析)について3

3 コミュニケーション行動の行動分析

コミュニケーションは当然、発信者と受信者が交互に入れ替わって成り立つものです。

これも先に述べた三項随伴性で分析できます。

店員さんとお客さんの会話を例にとると

                   店員にとって  客にとって

店員    いらっしゃいませ。   言語行動   弁別刺激

客    おだんご3つください。 強化・弁別     言語行動

店員  おだんご3つですね。  言語行動   強化・弁別

客    はい。            強化刺激       言語行動

つまり、言語行動も聞き手の行動によって強化されるオペラント行動であるということです。

このようなコミュニケーション行動を獲得させるためには、話し手の言語行動にしたがって、聞き手の行動が影響を受けるような「制御機能」を成立させて強化させることが重要になってくるといえます。

障害を持つ子どものコミュニケーション行動をより豊かにするために、強化刺激・弁別刺激としての私たちの聞き手としての役割はとても大きいものだと思います。

次回からはマンドやタクトについてまとめていきます。

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