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2008年3月

薬物療法について(2)

薬物療法について(2)

薬物療法を行っているときの取り組みについて

パート1で「しっかりと子どもの様子を観察しながら、適切な対応・指導を少しずつ積み重ねていくことがいちばんの近道だ」と書きました。

適切な対応に必要なことを以下に述べます。

1 何をもって投薬終了とするか?投薬の目的を明らかにすること。

2 投薬の効果はきっかけにすぎない。気分に関わる少しの部分を改善するものでしかないことを保護者・指導者が認識すること。

3 本人には、投薬によってなにがよくなるかをきちんと知らせること。

4 本人の発達段階に応じた、IEPを作成し計画的に取り組むこと。

5 行動が改善されたからといって、過剰な課題を与えないようにすること。

6 できるようになったことを認め、本人の自己評価をきちんと上げていくこと。 

7 周囲(クラス等)の本人に対する評価も上がるような、働きかけをすること。

8 保護者・指導者は投薬の効果をきちんと見極め、担当医に知らせること。

教育の現場では、投薬と指導は別物と考えていることが多いようです。決して別物ではない事を指導者は理解して、毎日の取り組みにいかしていって欲しいです。

以下は薬についての参考です。

多動・衝動性=メチルフェニデート・カルマバマゼピン・バルプロ酸ナトリウム・リスペリドン・SSRIs

感覚過敏=リスペリドン

感情の不安定さ=カルマバゼピン・SSRIs・TCAD

自傷=プロプラノール・SSRIs・リスペリドン

攻撃性=プロプラノール・SSRIs・リスペリドン・クロニジン

常同性反復行動=SSRIs・リスペリドン・クロニジン

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不安・ふざけ・緊張・がんばりすぎ

不安・ふざけ・緊張・がんばりすぎ

発達心理学の側面から見た子どもの行動=

言葉の意味の「一般性」の理解。安定した表象世界、自信を基礎に、周りに目を向け、仲間の行動や能力を取り入れていく時期(4~6才)

周りに目を向けられるようになることで、子どもの中に不安・ふざけ・緊張・がんばりすぎがでてくる場合がよくあります。

それまでは、周りの子のことは気にせずに自信に満ちあふれて活動していた子が、周りの子どもの様子をみて、「みんながやっているのに自分はできない。」「自分より上手にできる子がいる。」「自分より早くできる子がいる。」と不安になり、自信を持った行動ができなくなることがあります。

自分が集団の中でふざける。そうすると周りの子が自分の方を注目していることがわかる。みんなが自分のしたことを笑っていることが楽しいと感じる。ふざけることが習慣になる。そうしてふざけ方が過剰なものになっていく子もいます。

周りの子の目を意識するようになり、何かするときに緊張する。チック症状がでたり、爪噛みをするようになったりする。みんなの前では大きな声がでなくなったり、固まったりする。場面緘黙とまではいかなくても本当にみんなの前で声が出なかったり小さかったりする子もいます。

周りの目を意識したり、親や指導者の期待に過剰適応して、がんばりすぎる子もいます。十分何でもできるのにどんな事にもがんばりすぎて、大丈夫かなと心配するほどの子もいます。

こういった場合、一人ひとりが持っているよさ・特性に応じた働きかけを行うことが大切です。

不安になる子には、十分に認める。他の人と比較することはしない。自信を持っていることを更に伸ばしていくことを優先するようにします。

ふざける子には、他のアピールする行動に替えていきます。特別な当番や係りの仕事などを行わせて有用感を感じさせ、注目よりよい評価の方が心地よい事を体験させることが一番だと思います。

緊張する子には、まじめなその子のよさをうまく役割として発揮させるようにします。毎日きちんと取り組んでいる掃除や係りの仕事を認めてあげる。発表よりも書いたものを評価する機会を意図的に設けるようにします。

がんばりすぎる子には、その子がのびのびして活動できる機会を大切にします。きちんとした評価と家庭での生き抜き・リラックスの場面を設定する必要があるかもしれません。

どの場合でも、クラスの仲間どうしでの認め合いが大切になります。仲間の中で自分がしっかりと受け止められているという実感があると、「不安・ふざけ・緊張・がんばりすぎ」などは少なくなってくる。自分の力をうまく発揮できるようになります。

この項目は恩師の近藤直子先生(日本福祉大学)の発達講座を参考に書きました。

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必携・特別支援教育コーディネーター

「必携・特別支援教育コーディネーター」

相澤雅文・清水貞夫・三浦光哉編集(クリエイツかもがわ)2800円

4月から特別支援教育コーディネーターを担当される方にお勧めの1冊です。

付録のCDには、関連法規・各障害の説明・各種シートなど多数(100弱)の文書があります。

このフォームを参考に自分なりの使いやすい観察シートや相談シート、IEPシートなどを作ってみるのもいいでしょう。

本文にはコーディネーターの具体的な役割がわかりやすくまとめられています。

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TEACCH概略編(6)

TEACCH概略編(6)

概略編は今回が最後です。テーマは「家庭との協力」です。

TEACCHにとっても現在の日本の特別支援教育にとっても大変重要なテーマです。

以下の文章は日本評論社「自閉症」中根晃編集 内山登紀夫著からの引用です。 

TEACCHでは両親との協力を非常に重視する。親と専門家の間には次の4つのモデルがあるといわれている。

第1モデルは、親が被指導者で専門家が指導者になる関係。

第2は、第1の逆で、親が専門家を指導する関係。

第3は、親と専門家が相互に精神的に支えあう関係。

第4は、地域社会への代弁者の関係である。

最も機会の多いのは第1の関係である。専門家は数多くの自閉症の子どもたちを指導しており、たくさんの情報をもっている。しかし自閉症の指導法は確立されておらず、このような伝統的関係だけでは行き詰ってしまうことがある。第2のモデルは、実際に子どもを育ててきて専門家よりもはるかに多くの時間を子どもとすごしてきた親は、自分の子どもに関しては第一人者であるとの認識にもとづいている。この関係は、両親が子どもの状態をスタッフに説明するときや、自分たちの考えた家庭での指導方法をスタッフに伝えるときなどに使われる。第3のモデルは、親にとっても専門家にとっても自閉症にかかわるということは非常な忍耐と努力を要することなのだという相互の認識が必要であり、専門家と両親が精神的に支えあえる関係になれたら、深い信頼関係が芽ばえ、子どもの治療教育についての実りも大きなものになるだろう。第4のモデルは、親と専門家が協力して自閉症児や自閉症者に対する地域社会のサービスを向上させ、地域社会の理解を深めさせることにある。たとえば自閉症児のための作業所をつくろうとするときなど、親と専門家の協力が必要になる。

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TEACCH概略編(5)

TEACCH概略編(5)

コミュニケーションの指導

基本理念は言語スキルではなくコミュニケーションスキルを指導するということ。つまり、話し言葉の指導よりも、意志伝達能力の改善・向上をめざすということ。コミュニケーション機能と文脈を重視して指導する。

コミュニケーション機能=要求・注意喚起・拒絶

文脈=コミュニケーションが行われる状況

コミュニケーション・システム(方法)  レベル順

1 泣いたり叫んだりして要求をあらわす。

2 ジェスチャー 

3 物を使って要求する  コップで「飲みたい」ランドセルで「帰りたい」など

4 絵(写真・ジグ)を使うコミュニケーション

5 文字を使う

6 サイン言語

7 表出言語

自閉症スペクトラム児は自発的なコミュニケーションを開始するのが苦手なので、きっかけとなるような状況を作ることも必要。

教育現場では1・2・3までのレベルの子どもに4からの指導を行うことが多くある。

レジャースキルの向上

自閉症スペクトラムの子どもたちは自由時間に何をしたらよいのか分からずに、無意味な活動を繰り返す事が多い。このためレジャースキルの向上も重視している。子どもの能力や関心に応じたものにする。

あるていど時間がかかる。1人でもできる。他の人ともできる。ようなものがよい。

社会的な活動への導入になるものが望ましい。ボールを使って、おもちゃを使って、テレビゲーム、トランプ等。また地域社会の中でも行うのが望ましい。ボーリング・スイミング・カラオケ・公園・買い物・外食なども大変有効である。

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TEACCH概略編(4)

TEACCH概略編(4)

「構造化」=環境を再構成することによって、子どもに自分が何を期待されているのかを理解させること。

物理的構造化

1 ついたてや家具などを利用して、不必要な刺激をなくし課題に集中しやすい環境をつくること。

2 視覚的な手がかりを利用すること。

3 活動の内容と場所が1対1で対応するようにすること。

TEACCHでの教室レイアウト=ワークエリア(作業・学習)・プレイエリア(自由時間)・フードセンター(おやつ)・トランジッションエリア(中継地点)・カームダウンエリア(落ち着く場所)などに分けられている。               

スケジュールの提示

自閉症スペクトラム児は時間の概念の理解や記憶に困難をもち、言語能力も低いことが多い。このことにより次に何が起こるかわからない状況ではたいへん不安定になることが多い。

そこで子どもたちが容易に理解できる方法で、活動の内容や順番を知らせることが大切になってくる。スケジュールには全体スケジュールと個別スケジュールがある。

スケジュールは子どもの状態に合わせて、文字・絵や写真・具体物などで提示される。

ワークシステム

ワークエリアでする課題の内容や量、課題が終了したらどうするかなどを知らせる方法。

左から右のシステム・色合わせのシステム・シンボルによるシステム・文字によるシステムなどがある。

タスクオーガニゼーション

課題のやり方を教える方法。視覚的な手がかりを与えていくことがポイント。

コンテキスト(文脈、場面)の提示・1対1対応・左から右への配列・ジグの利用・完成品の提示などがある。

このあたりの具体的なことは本編で、また詳しく書きます。 

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TEACCH概略編(3)

TEACCH概略編(3)

幼児期・児童期のプログラム作成にあたって

トップダウンの観点=対象児が成人したときに仕事をしたり、社会で生きていく上で必要な技能を取り込んでおくこと。

1 できるだけ多くの人に理解されるようなコミュニケーションシステムを身につける。

2 他の人の援助なしに一人で一定のスケジュールや日課に従う事ができる。

3 できるだけ高いレベルの作業能力を身につける。

4 できるだけ多くの適切な社会的行動と対人行動を身につける。

5 身辺の処理ができる。

6 レジャースキルを身につけ、余暇時間を楽しむことができる。

PEP-Rについて

Psychoeducational Profile Revised=心理教育診断検査改訂版

PER-Pは療育プログラムを作成する際に用いられ、子どもの能力を7つの機能領域に分けて評価を行う。機能領域=模倣・知覚・微細運動・粗大運動・目と手の協応・言語理解・言語表出

評点方式は一つの課題に対して「合格」「芽生え反応」「不合格」の三段階で評点される。

「芽生え反応」(課題を完全にはできないが、ある程度できる兆候があるもの)の領域をベースに療育プログラムを作成する。

PEP-Rの目的は、子どもがすでに確立したスキルと未確立のスキルを見分け、芽生えつつあるスキルを見極め、適切なレベルのプログラムを作成すること。また、どの程度の構造化が必要であるかも評価するものである。

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TEACCH概略編(2)

TEACCH概略編(2)

TEACCHにおける自閉症解釈

自閉症は発達障害であり、なおかつ青年期や成人期までの細やかなサポートが必要である。

自閉症児の基本的な問題は環境の意味を理解できないことである。

 ・ 環境から情報をうまく処理して理解する能力がとぼしい。

 ・ 抽象的な理解力がとぼしい。

療育上の留意点

自閉症児は以下の困難をもつ

1 概念を形成したり、抽象的な思考を理解することが苦手。

2 他者と社会的関係を持つのが難しい。

3 話し言葉の表出だけでなく、コミュニケーションの意欲や能力、言語をコミュニケーションのために使用する能力が十分でない。

4 自発性や自己の衝動をコントロールする能力が十分でない。

5 聞いて理解する能力が十分でない。

6 ある状況で獲得した能力を他の状況で発揮しずらい。

7 行動は固執的、常同的になりやすく、新しい行動に移行するのが難しい。

8 物事を順序立てて計画実行することが難しい。

これらの障害からくる混乱や悪影響を最小限にする環境を構成することが重要。

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TEACCH概略編(1)

TEACCH概略編(1)

自閉症スペクトラム児に対するいろいろなアプローチの中で、私が最も学んだといえるのはTEACCHです。しかし、このブログでは後回しでした。長い連載になりますが、まずは初めの一歩から。

TEACCHとは

Treatment and Education of Autistic and related Comunication handicapped CHildren. 

の頭文字をとった略語で「自閉症と自閉症に関連するコミュニケーション障害をもつ子どもたちのための療育」という意味です。

アメリカのノースカロライナ州立大学の故ショプラー教授らが開発したプログラムです。

ショプラー教授のインタビューこちら

TEACCHプログラムの中核をなすものは専門家と家族の協力関係といわれています。

時には保護者が共同治療者として、また時には専門家に対する教師としての役割を果たすような協力関係を重視するシステムです。

TEACCHの原則

1 子どもの適応能力を向上させる。

   a  子ども自身の適応能力を向上させる。

   b  子どもを取り巻く環境を整える。

2 保護者が共同治療者として協力する。保護者のニーズに耳を傾け、プログラムにいかす。

3 子どもの教育プログラムはそれぞれの診断と評価にもとずいた個別的なものとする。PEP-Rなどのテストや日常の行動観察の評価を参考に作成する。

4 構造化された教育をする。

5 子どものスキルを向上させると共に、子どもの未発達な部分を正確に認識して1をおこなう。

6 認知理論と行動理論の組み合わせを使っていく。

7 療育に関わる専門家はジェネラリストでなければならない。自分の専門分野だけでなく自閉症の子どもをとりまくすべての側面や問題について理解しておく必要がある。

 generalist:多方面の知識を持つ人、スペシャリストの対義語

10年ほど前に、初めてTEACCHを知った時、この「ジェネラリストたるべし」の理念に大きな影響を受けました。直接、子どもと長い時間かかわる教師が一番の専門家であるべきですし、それは言語だけ、運動だけ、行動だけ、認知だけなどのようではいけないと切実に思いました。

また、構造化を学ぶ事によって自閉症スペクトラムの子どもたちへのアプローチはとても「優しい」ものになったと思っています。

ただ、ここ10数年で、現場では教室を仕切ったらTEACCH。カードでスケジュールを示したらTEACCH。などのように短絡的なTEACCH理解(誤解)が急速に広がっていったのも事実です。

TEACCHの本質をこれから自分なりにまとめていきたいと思います。

概略編は 日本評論社 こころの科学セレクション「自閉症」をもとにしています。

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本当の連携のために

保護者と教師の本当の連携のために

教師は担当している児童に問題行動があると、「誠意」を持って保護者に対応します。

原因とこれからの方針を説明し、保護者に協力を求めます。

ただ、このような教師の側から見た「適切だと考えられる」対応でも、保護者から見ると「追いつめられていたり、否定されている」ように感じたりすることがあります。

それぞれの立場と子どもに対する「思い」の違いをどのように埋めていけばいいのか、子どもを中心にした支援をどのように行っていけばいいのでしょうか。

支援の立場にある教師が保護者の「思い」によりそうことができるかどうかが、キーポイントになると思います。

保護者として同様の経験をしたことがある、つまりどちらの立場にも立ったことがある教師は、「保護者としての疲れや傷ついた感情」を経験し、それを理解することができると思います。また、「指導という支援」の中に学校や教師の都合を感じたこともあるかもしれません。

そういう経験のない教師はぜひ想像してみてください。

発達障害児をもつ保護者の方のブログを参考にするのもいいかもしれません。

現在の学校や教師に対する思いを知ることができると思います。

「相手を尊重する」「疲れをねぎらう」「傷ついた感情を思いやる」

こういうことができる支援者になりたいものです。

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薬物療法について(1)

薬物療法については、様々な意見があると思います。

実際に処方する側の「一般臨床医のためのマニュアル」では、

薬物療法の基本

投薬と同時に周囲の理解啓発と本人への働きかけが不可欠。

複数からの評価を定期的におこない、漫然と使い続けることのないように。

本人がその症状を克服する術を身につけたときが薬物療法の終了。

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