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ICFの「生物・心理・社会モデル」について

ICFの「生物・心理・社会モデル」について

最近ICFの障害の概念についてよく耳にするようになりました。
障害を個人の中だけのものとして捉えないということは知っていましたが、詳しく説明はできなかったので調べてみました。以下参考文献をもとにまとめたものです。

WHOでは、能力を心身機能・構造、活動、参加の3つの次元と背景因子(個人因子と環境因子)で捉え、その次元ごとに、問題が生じている側面として機能障害、活動制限、参加規制という概念が用いられ、その実態を評価する国際障害分類(International Classification of Functioning)を提案している。

それまでの固定的であった障害の概念を、個人の枠組みから環境(個人的環境、公的サービス・民間のサービス、制度・法律・文化)の方向へ広げることで、さまざまな領域に影響を与えるようになった。そのメリットとして考えられることを以下に述べる。

① 単に機能的に「できる」「できない」という次元で障害を捉えるのではなく、現実の生活においてどのような支援・配慮があればどの程度可能かを総合的に捉えていく。手話でコミュニケーションが取れる人が周囲に何人かいれば、聴覚障害のレベルははるかに低いものになる。発語の無い自閉症スペクトラム児がAACを用い、かつ店の店員がAACの使用法を理解していれば、通常の買い物が可能になる。

② 背景因子によって能力・障害は可塑的なものになる。従来は能力・障害は年齢や症状の進行に伴って低下・重度化するという考え方が一般的であったが、新しいモデルでは、心身機能・構造、活動、参加それぞれ3つのレベルに背景要因が作用し、また、レベル相互間の可塑性を想定している。たとえば外出の機会を保障することで、リハビリが可能になる、知的機能や歩行機能などの心身機能も回復してくる等。

③ 評価を支援レベルで行う。評価を障害の程度である第1評価(否定スケール)だけでなく、どのような補助・支援を行えば活動の遂行が可能かという第2評価も含めた2つの観点で行う。

④ 医学モデルと社会モデルを統合した「生物・心理・社会モデル」の提案。従来の、障害は個人の問題と捉えてきた「医学モデル」と障害は社会の問題と捉えてきた「社会モデル」は対立的に語られることが多かったが、「生物・心理・社会モデル」はこの2つを総合しようとしたものである。

臨床発達心理学概論「発達支援の理論と実際」より

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