« 2008年11月 | トップページ | 2009年1月 »

2008年12月

AD/HDのペアレントトレーニングガイドブック

「AD/HDのペアレントトレーニングガイドブック」 

岩坂英巳・中川洋二郎・井澗知美編著 じほう 1800円

奈良教育大学などで行われているペアレントトレーニングについての方法といくつかの機関や親の会での実践例が紹介されています。

本書では行動療法的なアプローチとしていますが、応用行動分析をご存知の方には、大変なじみのある

増やしたい行動を「ほめる」。

減らしたい行動を「無視する」。

トークンシステムやタイムアウト の活用などです。

家庭での対応の仕方をロールプレイで学んだりHW(ホームワーク)を発表する中で交流したりするというグループによるトレーニングの方法が紹介されています。

現在のところ、このペアレントトレーニングを実施している機関も少ないですし、またあったとしても10回程のセッションに参加できるという条件に恵まれている親ごさんも多くはないと思います。

仕事の関係で私自身がこの研修を年越しをはさんで2日間に渡って受けますが、大切なことはHOW TO ではなく、「子ども理解を十分に行うこと。その上で、どんな力を子どもにつけていくかということ。」だと思っています。けっして大人に都合のよい「しつけ」をすることではないとも思います。

実際「ほめる」ことができにくい状況に置かれている親ごさんが多いことは、相談活動の中でも実感しているところです。毎日が大変で忙しい中でも、認めてあげること、注目してあげることで、ポジティブなフィードバックを日常的にしてあげられるといいなあと思います。

まず「認めてあげる」「愛してあげる」ことだと思います。最も「愛している」人から「認められている」「愛されている」ということを実感できることこそが一番大切なことだと思います。

今年の記事はこれが最後です。

今まで、読んでくれてありがとうございました。

それでは、よいお年を!

ブログランキングに参加しています。ワンクリックお願いします。もっとポジティブになれるので ⇒ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

「これでわかる自閉症とアスペルガー症候群」

「これでわかる自閉症とアスペルガー症候群」

 田中康雄・木村順監修   成美堂出版 1300円

ありとあらゆる入門書を出版している成美堂出版ですが、この本を読んで私の評価は5つ星になりました。

この本は確かに自閉症スペクトラムについての入門書ですが、単なる解説だけにとどまらない大変内容の充実したものになっています。

症例別アドバイスや各リソースとの連携、進学・就労について、体験談まで紹介されています。(実はこのブログをスタートした時に、この本のような「ALL ABOUT ASD」を目指そうとしていたのです。)

さすが田中先生監修だと思うのは、内容の平易さと書きぶりの端々に感じられる温かい人間性です。

さらに見開きの2ページ(半分はイラストと図など)が1テーマと大変読みやすいものに編集されています。

この本は、どなたにもお勧めできる入門書です。

「入門書は卒業した。」という人にもお勧めです。

ブログランキングに参加しています。ワンクリックお願いします。もっとポジティブになれるので ⇒ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Gifted

今年、WISC-Ⅲを何回か実施・分析するなかで、明らかに突出した結果が出たことがありました。

下位検査の評価点(SS)が上限の19に近いケースです。

言語面では大きな困難を抱えている子が、積木模様では難しい課題でもあっという間に完成させる様子などを見ると、

「本当にGiftedだなあ!」と感心してしまいす。

もちろん大きな凸凹があることは本人にとって「しんどい」ことでもあるのですが、この「与えられた秀でた才能」をしっかりと伸ばしてあげることが、最も大切なことであると思います。

本人の視覚有意な特性を生かした、活動・趣味・仕事を見つけてあげて、本人が生き生きと毎日を楽しめるようになること。

そんなプレゼントできたらいいですねえ!

          メリークリスマス&ハッピーニューイヤー!

ブログランキングに参加しています。ワンクリックお願いします。もっとポジティブになれるので ⇒ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

オーストラリア自閉症早期教育エビデンス・レビュー

NPO法人つみきの会のHPに「オーストラリア自閉症早期教育エビデンス・レビュー」の邦訳版が紹介されています。

エビデンスは「証拠」ですが、「療育の信頼性」と訳せば良いと思います。

ダウンロードしてプリントアウトするとA4で100枚を超えますが、ABAから日本では全く紹介されていない療育法まで網羅されています。

なによりも徹底した「証拠」主義は、そのスタンス自体がお子さんのあるいは教え子の療育の参考になると思います。

どのような療育方法が信頼できるのか、現在の療育の到達点は何かなどを知るための参考にもなると思います。

ダウンロードはこちらから→ 「オーストラリア自閉症早期教育エビデンス・レビュー」

ブログランキングに参加しています。ワンクリックお願いします。もっとポジティブになれるので ⇒ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

おやごさん用のWISC-Ⅲ説明書

業務として学校訪問・巡回相談を行っています。WISC-Ⅲの検査を依頼されることも多く、おやごさんや先生方への検査結果の説明や今後の支援についての助言等もあります。

かねがねWISC-Ⅲの概要を分かりやすく説明するためのものが必要だと思っていたのですが適当なものがなかったので作ってみました。以下に紹介します。

WISC-Ⅲ(ウィスク・サード)の検査について

WISC-Ⅲは一般的に多く使われている知能検査です。対象は5歳10ヶ月から16歳11ヶ月までです。内容は6つの言語性検査と7つの動作性検査で構成されています。
全体の知的能力=情報処理の能力=「全IQ(知能指数)」だけではなく、言葉を用いて表現したり、耳から聞いたことを処理する能力「言語性IQ」と言葉を介さずに目で見たり手を使ったりしながら情報を処理する能力「動作性IQ」を測定するものです。
全部で13の検査の結果から知能の細かい特徴や、得意・不得意(強み・弱み)をとらえることができ、今後の支援や学習指導等の参考として活用するものです。IQの数値は一般的に固定的にとらえられがちですが、支援や指導によって多くの場合変化がみられるとされています。

言語性IQ
・知識 学校での学習、一般的な知識。
・類似 言語表現、なかまわけ・言葉の持つ意味の幅等の理解。
・算数 計算能力、聞いて問題を理解できるか。
・単語 言語の発達水準、単語に関する知識。
・理解 一般常識、社会的判断、道徳的感覚。それらを表現する力。
・数唱 注意と集中力、短時間で覚えられる記憶量。聴覚的短期記憶。

動作性IQ
・絵画完成 細部を見る能力、一部描いていないところを見てすばやく反応する力や視覚的長期記憶。
・符号   目と手を同時に使う力、作業の速さ、視覚的短期記憶力。
・絵画配列 時間的な順序や出来事の流れなどの状況理解、結果の予想。
・積み木  見本を見て同じものを構成する力。全体を部分に分解する力。
・組合せ  細部から全体を推理・統合する力。全体を部分に分解する力。
・記号探し 視覚的に同じものを探す速さ。
・迷路   見通しの能力。

群指数
・言語理解 言語を理解し、表現する力。(知識・類似・単語・理解)
・知覚統合 目で見た情報を整理する力。(絵画完成・絵画配列・積木模倣・組合せ)
・注意記憶 気を散らさないで集中する力。(算数・数唱)
・処理速度 課題を行う速さ。(符号・記号探し)

数字で明らかになることは子どもさんの一部分にしかすぎません。苦手なことには楽にできるような工夫や配慮で対応し、得意なことをさらに伸ばしていく取り組みが最も効果的です。今回の結果を参考にして、本人の自信や自己肯定感を高めるような方向での支援・指導を学校でも家庭でもお願いいたします。

 
作成にあたって、職場の仲間が難しい語句や表現などを指摘してくれました。そして、「最後のところが一番大切ですね。」と最も言いたいことをわかってくれたことがうれしかったです。

ブログランキングに参加しています。ワンクリックお願いします。もっとポジティブになれるので ⇒ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

| | コメント (6) | トラックバック (0)

謝辞

本日、学会連合資格「臨床発達心理士」認定機構より合格通知が届きました。

今まで、この資格取得に向けて応援いただいた方々に心から感謝いたします。

論文作成のために、何度も時間をさいてくださりスーパーバイズをしていただいた

名古屋大学発達心理精神科学教育研究センターの小倉先生

資格試験について適切なアドバイスいただいた、先輩臨床発達心理士の

菜の花教室(愛知) 河野先生

「がんばって」と励ましていただいた多くの、知人のみなさん。

そして、

何よりも私をここまで「育て」てくれた、たくさんの子どもたちと親ごさん、

あなたたちとの出会いで、私はここまでこれたのだと

心から感謝しています。

これからは、学校訪問での先生方へのコンサルテーションだけでなく、親ごさんへのコンサルテーションにも活動のフィールドを広げていきたいと考えています。

ブログランキングに参加しています。ワンクリックお願いします。もっとポジティブになれるので ⇒ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

マカトン法

マカトン法とはダウン症のお子さんなど言語発達に遅れがあるお子さんのためにイギリスで開発されたサイン言語です。

学生時代に聴覚にハンディを持つ仲間や、手話のサークルの仲間がいたこともあって、ある程度手話はできるのですが、先日このマカトン法を調べていたら、ほとんど日本の標準的な手話と同じことを知りました。

これなら、音声言語がまだ難しい自閉症スペクトラムのお子さんとのコミュニケーションにも十分使えると思いました。

先日、特別支援学級への巡回相談で、重い自閉症のお子さんへの、「~ください。」「はい、どうぞ」の音声言語でのやり取りの学習を参観しました。(実はこの時、私は音声言語でのやり取りの練習はこのお子さんにはまだ早すぎると思いながら参観していたのです。)

その学習の後、そのお子さんが絞り出すような声で「ちょうだい」と言いながら両手のひらを上に向けて重ねながら本当に欲しいものを要求したのです。後で担任の先生にこれが学校で「初めての要求」だと知り私は、担任の先生よりも興奮していました。

音声言語はハードルがずいぶん高くてもサイン言語ならそのハードルを低くすることができると思います。

絵カードなどでの視覚支援とともにサイン言語の活用もチャレンジしてみたいと思いました。

ブログランキングに参加しています。ワンクリックお願いします。もっとポジティブになれるので ⇒ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ソーシャルストーリーブック

「ソーシャルストーリーブック」 キャロル・グレイ著

  クリエイツかもがわ 2000円

「ソーシャルストーリー」とは、自閉症スペクトラムの子どもたちが、日常生活における適切な言葉づかいやふるまい方を学ぶためのツールといえます。

このツールの一番のお勧めのポイントは自閉症スペクトラムの子どもたちの自尊心を損なわないことを最も大切にしていることです。

一見、ハウツーものや道徳のテキストのようにも見えますが、徹底したストーリーの分析と管理を行って作成されることを前提としています。

何かを指図することではなく、最もわかりやすい方法で対人関係に関する確実な情報を共有し、解説することが「ソーシャルストーリー」の目的です。

子ども一人ひとりの状況に応じてカスタマイズしたものをこの書籍を参考にして作っていただき活用してもらいたいと思います。

「ソーシャルストーリー」の一つを以下に紹介します。

「しあわせはいい気持ち」

人は、しあわせになるときにえがおになることがあります。

えがおは、みんなをいい気もちにします。

わたしがえがおだと、みんなはわたしがいい気もちなんだと思います。

わたしはすきなものがあるとしあわせな気もちになります。

わたしがすきなものは            です。      

このストーリーはすべての人におすすめです。

そして、私の最も好きなストーリーです。

ブログランキングに参加しています。ワンクリックお願いします。もっとポジティブになれるので ⇒ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

| | コメント (4) | トラックバック (0)

「トレーニング時間」

当然のことですが、人が何かが「できる」ようになるためには、トレーニングが必要です。

ずいぶん前に、何かの記事で「トレーニング時間」の一覧表を見たことがあります。

たしか、自動車の運転は20時間。テニスやコンピュータも20時間・・・外国語1000時間。なんとピアノは10000時間!

だったと思います。もちろんこの時間数以上増えればそれに比例して習熟の度合いが上がっていくということです。

では、自閉症スペクトラム児の指導は?

私は、初めて重度の自閉症のお子さんを持った時に、「司法試験に受かるには自分の身長の本を読んで覚える。」とどこかで聞いたことがあったので、「お子さんの身長分の本を読む」と目標設定したことがありました。

今までにまったく指導経験がなく、現在の指導も場当たり的なものになっている先生には、ぜひたくさんの書籍を読んだりやインターネットで関連サイトを見ることなどをお勧めしています。

たくさんの考え方、たくさんの支援法をまず知ってほしいと思います。その上で支援しているお子さんに最もぴったりくる支援をしてほしいです。

支援内容はいろんなことを試しながら、うまくいったことを保護者の方と情報交換しながら決めていってほしいと思います。

一人ひとりのお子さんのQOLの向上のためにできることは、明日からすぐする姿勢と保護者やお子さんの願いを最優先する謙虚さを持ってほしいです。

その上で、まず「100時間のトレーニング」をお勧めします。

視覚支援のためのサポートグッズを作ったり、スケジュールを作ったりすることが楽しくなってきたら、次の段階に進んでください。

TEACCHの生みの親であるE・ショプラー博士は

「自閉症児の支援者はジェネラリストになる必要がある」と言っています。

スペシャリストになった上でその専門性から脱却していきジェネラリストになることを目指しながら先生ご自身も成長・発達していってほしいです。

ブログランキングに参加しています。ワンクリックお願いします。もっとポジティブになれるので ⇒ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2008年11月 | トップページ | 2009年1月 »