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「キレる子」にはわけがある

大阪医大LDセンターでの研修と教育研究集会(基調講演は「競争やめたら世界一」の都留文科大学教授・福田誠治さん)の日程が重なったため。分科会のレポート参加だけになりました。せっかくなのでこのブログでも紹介します。

「キレる子」にはわけがある            

一般的にはこのように「キレる子」を分析しているようです。

国立教育政策研究所の報告書では、「キレる子」を「『突発性攻撃的行動及び衝動』を示す子どもと規定しています。なお、この研究では一応発達障害の子どもを対象とはしていません。
「キレた」子どもの基準として。
①「キレた」ことによる行動(暴力行為)が常識的な判断として了解されるものではない。
②「キレた」ことによる行動(暴力行為)に、情動を制御する力が認められない。
「キレた」子どもの分析(概要)
(1)「キレた」子どもの性格的傾向分類
①「キレた」子どもの性別は、男子が87・8%、女子が12・2%。
②性格的傾向の分類では、多い順に「耐性欠如型」70・3%、「不満型」30・1%。
③「耐性欠如型」と「攻撃型」は男子に多く、「不満型」は女子にやや多い。
(2)「キレた」子どもの成育歴に関する要因の分類
①「キレた」子どもの成育歴に関連する要因として、最も多く指摘されるのは、「家庭での不適切な養育態度(75・8%)」、「家庭内での緊張状態(63・8%)」である。
②「家庭内の不適切な養育態度」としては、「過度の統制(18・8%)」「過保護(甘やかし)
(13・6%)」「過干渉(11・3%)」「過度の要求(10・9%)」及びこれらと対峙すると思われる「放任(14・8%)」「言いなり(9・5%)」という両極にある養育態度が「キレた」ことの要因となっていると推察される。 
③家庭内で子どもに心理的な緊張感や不安感をもたらす「家庭内の緊張状態」としては、両親の「離婚(24・5%)」やそれと関連した事項として「夫婦不仲(12・5%)」、「貧困(11・5%)」、「再婚(7・8%)」が認められた。これらの事項は、子どもに心理的な不安や緊張状態を引き起こし、子どもを「イライラ」させ、両親に反抗的な態度を形成することに、少なからず関与しているものと思われる。そして、これらのことは、「キレる」ことに直接的というよりも、むしろ間接的な影響を与えているのではないかと推察される。
④「父不在(14・5%)」「母不在(9・2%)」も要因として指摘できるが、これは両親が不在がちであることにより、子どもに対する養育態度として「過保護」「放任」につながるのではないかと考えられる。
⑤「キレた」子どもの4分の1前後は「問題行動(非行等)(27・4%)」を起こしたり、「家庭内で暴力・体罰(24・0%)」を受けたり、「友人関係の問題(23・9%)」があったことが指摘できる。
⑥子どもの「問題行動(非行等)」(27・4%)」に対して、「家庭の適切な対処が欠如」していることが認められた(「問題行動(非行等)」が認められた事例の73・0%)。「問題行動(非行等)」に対して、養育者が毅然とした態度対応をとることの必要性が指摘される。                               
 なお、学校要因としては、①友人からのいじめ、②教師の不適切な対応、③学業面の問題、④友人関係の問題、及び⑤問題行動(非行等)に分類される――としているが、結論的には「以上のことから『キレる』子どもの発生においては、家庭の状況は否定しがたい影響力を持っており、それに比較し、学校等の影響は相対的に小さい」としている。

 いかにも国立教育政策研究所らしい調査研究報告です。この報告はデータとして参考にする程度でよいのではないかと思っています。もともとこの調査は家庭状況の分析を中心的なものとして行われているので、このような「家庭の問題」「性格の問題」という結果になったと思います。
 私は「家庭の問題」などは、本当の原因ではなく背景・要因であり、本当の原因は「自己評価の低下」であると考えています。
 「キレる子」への支援を進めるためには、自己評価が低下している原因を明らかにすることと、「キレる」行動の前後の文脈をきちんと分析することが大事だと思います。

自己評価低下の原因として考えられること。
 ・学校で「学力中心の評価」にさらされているため、学校生活に適応できない。
 ・成功体験が少ない。ほめられた経験が少ない。
 ・他の人のために役立っているという自己有用感が少ない
 ・教師やクラスメイトに認められていない。
 ・ストレスにうまく対処することができない。
 ・友人関係をうまく作ることができない。
 ・アンガーコントロールがむずかしい。
 ・キレた後に「どうしてあんなことをしてしまったのか」と後悔することが多く、さらに自己評価を下げることが多い。         
   
「キレる」子の行動分析で大切なこと。
 ・事前にどのようなやり取りがあったか。
 ・事後にどのような状態になったか。
 ・事前にどのように対応すれば「キレる」ことがなかったか。
 ・事後にどのように対応すればクールダウンがスムーズにいくか。                          

「キレる子」への支援として考えられること。
・アンガーマネージメント
・他者の感情をどのように理解するとよいのか。
・コミュニケーションスキルを身につける。
・ロールプレイング
・「キレ」た後でお互いの気持ちを吹き出しに書いてみるなどして振り返る。               
  「キレる子」は少なからず「発達障害スペクトラム」の範疇に入ると考えられます。しかし、発達障害であるからといって特別の対応や投薬などで問題が解決するわけではありません。これまで述べた対応を、継続的に、丁寧に、子どもにより添う形で進めることが最も大切であると考えています。また、行動が変容していくために大きな手助けとなるのは、いつも近くにいて本人を理解してくれている友だちです。

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