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「クレーン」について

自閉症児が何かを要求するときに、「他の人の手を取り、これを操作し、欲しいものをとらせる。」ことを「クレーン現象」と呼んでいます。
このような行動が、なぜ起こるのかについては様々な説がありますが、私は三項関係の成立の難しさが原因であると考えています。他者は認識できていても、他者の目線を読み取れない。つまり、指差しをすることによって相手の注目を対象物に向けることができると認知できない。このため、要求を伝達するために直接相手の手を操作するクレーンを行っていると考えています。

自閉症児の成長記録で「クレーン⇒指差し⇒発語」の順で要求手段が変わっていったことが紹介されているものがありました。このことからもクレーンから次の手段に移行させることは大変重要な取り組みであることが分かります。

特別支援学級で自閉症のお子さんを担任されている知り合いの先生から以下のような実践をお聞きしました。(私はとても素晴らしい取り組みだと思いました。)

意思を伝える手段として、活動の写真カードを子どもの前に提示して、どちらがしたいかを選ばせるように働きかけた。この取り組みで「自ら選ぶ」ということの意味を理解することができ、やりたくないものが目の前にあっても混乱せずに、自分が選んだ活動をスムーズに行うことができるようになった。
またその後、徐々に離れているものを指差して要求することもできるようになってきた。このことにより、自分の意思を伝えやすくなったためか、担任に対するクレーンが減ってきた。しかし、その子どもにあまり接していない教師に対しては、まだ直接クレーンで要求することがある。とのことでした。

より適切な要求手段を獲得することでクレーンが消失し、指差しができるようになったことは、明らかに指導の成果であるといえます。
また、本人とのラポート(親近感・親密感)の程度によって要求手段が異なってくるということも、今後の指導の在り方に大変示唆を与えていると思います。

日々の指導の中で子ども自身の「要求」をよりスムーズに表出できるように働きかけることこそ、大切にするべきだと思います。
そして、その表出をさまざまな場面で般化させることができれば、子どもにとってより豊かな毎日の生活を保障することができたといえるのだと思います。

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