「こだわり」をどうとらえるか
各機関の専門家が集まったケース検討会に参加しました。
その中の1ケースで「認知レベル」が高いにもかかわらず、感覚刺激に「こだわり」が強いお子さんのケースがありました。視覚支援やスケジュールが自分の好きな行事や活動がある場合は有効であるが、日常的な学校での活動ではどうしても「こだわり」が強くなかなかやめられないということでした。
参加していたPT(理学療法士)の先生から
「満足しきれていない何か」をその行動を観察することによって見極めていくことが必要だという助言がありました。
たとえば「水遊び」を例にとるとその行動の中の、水の触覚なのか温度なのか、水のキラキラなのか、泥の感触なのか、その子がどの感覚刺激を求めているのかを明らかにすることによって、どの感覚を意図的に「入れて」いくといいかが分かってくる。ということでした。
また、そのような単純で未熟な感覚にむかい続ける原因として、成育歴や感覚歴をみていくことも必要である。また、自分の体をコントロールする力、筋肉の使い方、ボディイメージなどをきちんと身につけていくことも必要である。と話されました。
行動を感覚のレベルでもとらえることは、子どもの全体像をつかむためにも大切であると思いました。
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コメント
こんにちは。今日の記事で思ったのは、思春期になると感覚的なものが顕著になるケースのことです。身体感覚論で捉えるべきだろうなあと思う一方で、アイデンティティの危機に際して最も強い特性で対応しているような気もします。
また、とってもよくわかる子なのに感覚世界、こだわり世界に埋没していってしまうこどもと会うと何をしてあげたらよいかと立ち往生してしまうことがあります。今日の記事はヒントになります。
療育をしていますが、幼児期のある時期に身体的なアプローチをしていくことが感覚的な世界への過度の没入を防ぐのではないかということもかんじています。ありがとうございます。
投稿: Tom | 2009年7月 4日 (土) 05時32分
TOMさん、いつもコメントありがとうございます。
私の記事からさらに核心に近づいたご意見をいただいていると、いつも感謝しています。
成育歴や感覚歴を探っていくと、どうも小学校入学から現在までが空白のようになっているお子さんがいました。
認知能力は高いが、「こだわり」が強い。就学前に覚えた手遊び歌や絵描き歌、折り紙などには楽しそうに取り組める・・・
なにかのヒントになるのでしょうか?
投稿: BOGEY | 2009年7月 4日 (土) 16時46分
今日、白石正久先生の「自閉症児の世界を広げる発達的理解」を読み返していました。対比的な弁別認識の段階のこどもが刺激に従属させる教育方法を長期間取らされたときに同一性保持が強迫的になる事例があるとありました。長時間着席させられて描線のなぞりやモデル通りの構成や表現等させられたのだそうです。なんとなく似てませんか、その子と…
投稿: Tom | 2009年7月 4日 (土) 21時57分
ご指摘の通りかもしれません。
支援者が陥ってしまいそうな事例ですね。
ご紹介いただいた白石先生の書籍読んでみます。
ありがとうございました!
投稿: BOGEY | 2009年7月 4日 (土) 22時16分