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2011年9月

膜タンパク質「IL1RAPL1」と脳神経ネットワーク形成

学会誌に発表された論文です。
詳しくはこちら マイコミジャーナル

近年このようなエポックメイキングな研究発表が増えていますが、増えるばかりで臨床的にはまだまだであることが現実です。早くても数年以上待たされることになります。

自閉症スペクトラムの原因が脳神経ネットワークの形成不全であるということ自体がまだ明らかにされていませんが、可能性の一つとしては大いに考えられます。

酵素欠損が原因で起こっていた筋ジストロフィーの一種「ポンペ病」が「マイオザイム」の開発で劇的な治療効果をあげたように、自閉症スペクトラムもそのようになってほしいと願っています。
もちろん、そんな夢が現実になるまでは、日々の地道でていねいな支援を積み上げていきたいと思っています。

これは余談ですが、「マイオザイム」開発は「小さな命が呼ぶとき」という映画になっています。


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「愛着障害」について

この本を読んだことをきっかけに関連の心理学書をもう一度読み直しています。
親子間の愛着形成や療育の問題が「愛着障害」を生み出すことは間違いないようです。

DSMⅣ-TRでは「反応性愛着障害」の診断基準に、
「A.5歳以前に始まり、ほとんどの状況に置いて著しく障害され十分に発達いしていない対人関係で、以下の1、または2に示される(略)C.以下の少なくとも1つによって示される病的な養育:(略)D.基準Cにあげた療育が基準Aにあげた行動障害の原因とみなされる。」
とあります。
つまり「障害」とはいえ、それは療育環境が引き起こした(療育に反応した)「行動問題」なのです。

現在日本の社会に蔓延している虐待やネグレクトの問題と、この「愛着障害」の問題は大変密接な関係があります。さらに、杉山氏のいう「虐待からはじまる第4の発達障害」とも同じではないものの、大きな関係がありそうです。もしかすると三つ巴の関係かもしれません。

子どもたちの情報交換の場では、家庭環境や虐待、ネグレクトと行動問題はセットで報告されることが多くあります。「子どもを『病的な養育』から守る」ことも私たちの仕事になりつつあります。
また、「病的な療育」を改善するための取り組みも関係機関と連携を取りながら行っていく必要もあります。

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君に幸せあれ

P1020199_2

元「相棒」の結婚式でした
笑顔も涙もいっぱいのとても素敵な式でした

サプライズの「お祝いスライド」には
同僚だけでなく
私たちの教え子やその親ごさんの笑顔もいっぱいでした

いつも子どもたちのことを一番に考えてがんばってきた彼女に
とてもふさわしい素敵な一日でした


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支援者の支援

「しんどい」のはお子さんだけでも、親ごさんだけでもないのが今の教育現場です。
支援する側の立場の教師も「しんどい」ことが随分増えてきています。

親ごさんからの強いクレームを受けてそれがトラウマになっている教師。
今までの指導が通用しなくなって、自信をなくした教師。
学級の荒れから精神的にまいってしまった教師。

どれも「しっかりしなさい」という叱咤激励で何とかなるレベルではありません。
チームでの支援が必要なケースがほとんどです。
管理職の対応次第で大きく改善することもあれば、最悪のケースになってしまうこともあります。

今日の学校訪問は「支援者の支援」に終始しました。
肯定的な評価をしながらも、今後の取り組みの方向転換をイメージしてもらうことが必要でした。

次回の訪問は2ヶ月後です。
先生の成長とそのことによるお子さんたちの成長を期待しています。


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尿失禁について

自閉症スペクトラムのお子さんの「尿失禁」についての相談がありました。

家庭ではおしっこを失敗することがほとんどなく、学校で多い。
休み時間ごとにトイレに連れて行っても、1日に多い時では5・6回の尿失禁があったとのことです。

まず、原因を仮定する必要があります。
・水分の摂取量はどうか
・どんな活動の時多いのか
・どんな場所で多いのか
・トイレでする時の量はどうかetc

そんなに多くの水分を飲んでいないときでもある。
学習場面でも、休み時間でも、支援学級でも、交流学級でもあるため、時間や場所で特定できない。
トイレでする時はあまり量は多くない。もしかすると量をセーブしているのかもしれない。
意図的にしているような雰囲気もある。

他機関の相談員からは、「水分の摂取量と尿の量を記録すること」「失禁しなかったときにごほうびを」というアドバイスをもらったということでしたが、具体的な対応策が見当たらないとのことでした。
「天気や季節のせい」ではないかとも考えたとのことですが、もちろんそんなことはありません。

支援者も親ごさんも随分神経質になっているようでしたので、まずはあまり気にせずにしばらくは「様子を見る」ようにしてもらいました。おしっこを失敗して一番困るのは本人なのですから。過剰な反応も本人にとっては望ましいことではありません。着替えなどもさらっと何事もなかったかのようにしてもらいました。
結局、根本的な解決策を私も提案できなかったのです。

大きな変化があったのは2週間ほどたってからだそうです。まったく尿失禁がなくなったとのことでした。
親ごさんが、もしかして薬の副作用ではないかと考えて服薬を止めたことでなくなったらしいのです。
自閉症スペクトラムのお子さんでリスパダール(リスペドン)を処方されているケースは多くあります。調べてみるとリスパダールの副作用に抗利尿ホルモン不適合分泌症候群や排尿障害、尿閉、BUN及びクレアチニンの上昇、尿失禁が挙げられていました。
睡眠障害があるお子さんですので、投薬は今後も必要になってきますが、その調整については学校や家庭での様子を詳しくみながらドクターと相談していくことが必要なのだと思いました。


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保護本能

映画「しあわせの隠れ場所」をもう一度見ました。

アメリカの職業適性検査に「保護本能」という項目が実際にあるのかどうかは分かりませんが。
そのほかの項目が10パーセンタイル以下だった主人公マイケル。彼のアメリカンフットボールの練習場面と同じぐらいか、それ以上に支援者と学習に取り組む場面に心が動かされました。


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Muito obrigado

放課後、外国籍のお子さんのおうちへ家庭訪問に行きました。
一泊二日の野外活動の説明や持ち物について詳しく説明した後、これまでのお子さんの成長や変化についての話になりました。
お母さんもお父さんも学校での学習のことだけでなく、家庭でもできることが増えたこと、両親の言うことや指示を聞けるようになったこと、家族のためになにかしてあげようという気持ちが持てるようになったこと・・・
通訳をしてくれた親戚のお姉さんはご両親のたくさんの思いをとても早口でいっぱい話してくれました。

「今度学校でカレーを作るんだ」と、元気よく家を出ることができるようになったこと。家に帰ったら宿題の「ガンダムプリント」を真っ先にやって、それをうれしそうに弟に見せびらかしていること。

子どもが笑顔でいることが親ごさんにとって一番うれしいことです。

たくさんのありがとうをもらって帰ってきました。


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入力系の課題と愛着形成の課題

「発達障害」と呼ばれているお子さんの中に、入力系に課題を持つ子たちと愛着形成に課題を持つお子さんたちがかなりの割合で含まれているのではないかと最近感じています。(残念ながらエビデンスはまだ有りません。)

視覚機能に課題があるお子さんは低学年の時に「書字」に最も困難を抱えることになります。そして、中学年以降は学力定着のマイナス要因となっていきます。
聴覚弁別や聴覚集中に課題があるお子さんは、学習参加自体に困難を抱えていることが多いように思います。

また、いわゆる「問題行動」と言われるような行動を繰り返しているお子さんの中には、担任の「注目」を得るためにその行動を繰り返していると思われるケースが多いのです。

幸い、入力系の課題についてはビジョントレーニングなどの有効な手立てがありますし、愛着形成の課題についてはABA(応用行動分析)の活用が効果的だといえます。

通常学級で担任ができること、まだまだ有りそうです。

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「ガンダム」だらけ

支援学級のお子さんのためのひらがな・カタカナプリントを作りました。
ダブルリミテッドが疑われる外国籍のお子さんのためのプリントです。
音韻認識(モーラ)が母国語でも日本語でも定着するのが大変難しいお子さんで、2歳の時の大きな病気が原因の高次脳機能障害も疑われるお子さんです。

家ではいつもガンダムのゲームをしているとのことだったので、「ガンダム」だらけのプリントを作ってみました。
楽しみながら少しずつでも覚えていけたらと願っています。
(全くの個人使用なのできっと日本サンライズさんも許してくれるでしょうww)

Photo


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支援学級の9才

「9才の壁」については詳しくは別の機会譲りますが、私は9歳から12歳までは「抽象思考への助走時期」だと考えています。
私が担任している3年生の子どもたちは「知的」学級のお子さんです。昨年度は三人三様のわがままぶりが目立った子たちだったのですが、3年生になってぐんと「落ち着いて」きました。
学習内容は下学年のものですが、学習に取り組む姿は正に「9才」の子たちなのです。
3人がそれぞれを意識しながら集中して学習に取り組む姿は「自己二重化」の芽生えを感じさせるものです。

客観的に自分をとらえることができ始めた子たちは、同じようなタイプの友だち・仲間と深い関係を築くようになっていきます。
そこでの「育ち合い」は大変重要だと考えています。

学習面での「9才の壁」は高い壁だとしても、対人関係は越えられそうな高さの壁だと考えています。

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地域で育つ、地域が育てる

1日で同じ中学校区の小学校、幼稚園、ついでに中学校も訪問しました。

この学校区はいわゆるドーナッツ化現象で幼稚園児が4・5歳児で10数名、小学校が100名を越える程度、中学校も同程度という小規模園・校です。

ちょうどその日は中学校の体育祭の日で、幼稚園児たちは午前中に中学校に出向き「まるも体操」などを披露していたそうです。中学校のお姉さんたちが一緒に踊ってくれたと園児は喜んでいました。
午後の全員リレーの応援にも行くということなので、私も同行しました。
保護者も園児も来賓のように本部の数貼りのテントの中にみんな入れてもらっての応援です。

「○○ちゃ~ん」園児が応援しているのは、園児のお兄さんや、さっき一緒に踊ってくれたお姉さんです。
体育祭で競い合っているチームは学年やクラス別ではなく、3学年を通した縦割りのグループです。

少人数だからこそできるこのような交流は、「異年齢集団の中での役割付け」を経験させてくれるものだと感じました。

地域の大人が子どもたちに関わることも大切なことですが、このように地域の子どもが年齢を越えて関わりあうことはもっと意味のあることだと思いました。

私が観察を依頼された園児のAさんも以前からよく知っている中学生のBさんもCさんもDさんもみんなとてもいい顔をいていました。

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Twitter

私はあまりツイートすることはなく、このブログの記事紹介を時々するだけですが、フォロワーさんがぼちぼち増えてきています。

いろんなところで支援を行っている人、当事者の方、親ごさん・・・

直接お会いすることも、意見交換をすることがなくても、その人のツイートを読ませていただくことでその人を知ることができ、私自身の視野も広がっていると感じています。

こうゆうつながりも大切にしていきたいです。


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「数値」は絶対ではない

標準化されてから10数年経過するWISC-Ⅲ、標準化時点と現時点では10弱の平均FIQ低下がみられるのではないかと私は感じています。

これがあながち感だけでないのは、「WISC-Rの平均FIQは108.9であるのに対し、WISC-IIIの平均FIQは103.3であった。(日本版相関係数0.84)」なんていう過去の事実があるからなのです。
また、学校現場にいるといわゆる「学力低下」を感じざるを得ません。
もちろん、それはペーパーテストの結果だけでなく、卒業文集の内容でも、図工で製作した作品でも、体育における運動機能でも現れているといえます。

「専門家」と言われる人が観察して、知的遅れが疑われる(と目に止まった)特定のお子さんを検査して、「はい、FIQが70以下ですから・・・」と軽々に判断して転籍を勧めるべきではないと最近思うようになりました。
実際には、毎日子どもと接している担任は、「その子の他にも学力的にしんどい子はたくさんいる。」と話すことも多いからです。

数値としてでた結果だけを「絶対視」することなく、本当に必要な支援はどうゆうことなのかを柔軟に考えていきたいと思う今日この頃です。


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動作性IQ

WISC-Ⅳではエビデンスが充分でないということで言語性IQ・動作性IQの区分はなくなりますが、1年前のWISC-Ⅲの検査から動作性IQだけが25も上がっているお子さんのケース会議がありました。

言語性IQの伸びのなさを指摘するカウンセラーと動作性IQの伸びを評価するコーディネーター、どちらも臨床発達心理士です。

データーの見方はそれ以降の支援のあり方を示すものでもあり、それまでの支援のあり方の評価でもあります。

学校教育の成果として「伸び」たところを親ごさんと共有し、担任と共にお子さんを「うんとがんばったね♪」と褒めてあげられる支援者でありたいと思いました。

(ちょっと中途半端な記事でごめんなさい・・・現在進行形のケースですので)


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WISC-Ⅲの解釈

AさんのWISC-Ⅲの解釈を書いていました。
親ごさんや担任の先生に結果を説明する時に使う結果報告書です。
Aさんは自閉症スペクトラムの特性のはっきりしたお子さんです。
できることも多いお子さんですが、やはりスペクトラムの特性である「言語理解の弱さ」と「シングルフォーカス」がしんどい部分の原因になっていました。

今後の支援方法などを具体的に書いた後に、
「一番大切なことは、周囲がAさんの特性を理解してあげることです。」
と付け加えました。

Aさんの検査結果を見ていて、実は本人が「どうがんばるか」よりも、周囲の大人の「理解と配慮」が一番必要であることに、今更ながら気付かされたのでした。

「ここがしんどいだよね、だからよく分かんないんよだよね。」という周囲のまなざしがとても大切だと思いました。


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