カテゴリー「理論・知見」の記事

二重経路カスケード・モデル

二重経路カスケード・モデル

 単語の視覚認知モデルは、文字列の視覚的形状をもとに語彙情報へ直接アクセスすることを通常のやり方として仮定していた。しかし非単語であっても、「ワクホ」や「trisk」のような文字列は容易に発音できる。つまり視覚的な文字列を音韻情報へとある規則に従って変換するような経路は脳内に存在しているのだと考えられる。こうした背景に基づき、Coltheartらは音読過程の二重経路カスケード・モデル(dual-route cascaded model)[14]を提案した。このモデルでは非単語を読むときには語彙情報を介さず、書記素‐音素対応規則(grapheme-phoneme correspondence rule)に従って文字列を音素に変換するという過程を経る。この過程は音声読み(phonetic reading)ともいわれる。一方で語彙情報へのアクセスを介して音素に変換するプロセスもあり、規則に従わない例外的な発音をする単語(例.家来、yacht)はこの経路のみで処理される。こちらの過程は全語読み(whole-word reading)という。(脳科学辞典より)

読み障害や書き障害のお子さんだけでなく、自閉症スペクトラムやダウン症のお子さんの支援をしていると、それぞれ独特の「音韻認識」や「形態素認識」があるのではないかと感じることが多くあります。

簡単に言えば「音韻ルート」と「文字ルート」が一つでない。さらに言えば、読めて書けても、それがコミュニケーション手段としての道具にならない・・・

支援の取り組みは試行錯誤しながら行っているのですが、根拠となる「モデル」が二重ルートカスケードモデルでは十分に説明が付かない・・・

投票に行った以外は外出もせずに缶詰状態だったのに、解らないことばかり増えた2日間でした。

勉強不足です・・・

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「至高体験」

これまで、マズローやコリン・ウィルソンらのいう「至高体験」は、私にとっては「心理学」の中でも最も遠い位置にあるものでした。

「トランスパーソナル心理学」を、ユングのように「オカルト」だとは思いませんが、エビデンスがないということで同系列に位置されていることが多いのも事実です。
人生の意味を教えてくれる「至高体験」も、その背景に必ず存在する「死」についても、もう一度きちんと、捉えなおしていきたいと思いました。
QOLを考えるときにもこの視点はとても大切だと思うのです。
私たちにとっても、子どもたちにとっても、本当に意味のある「体験」を教育の現場でも追及していきたいと思うのでした。

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そろそろ

いくつかの療育法であったり

いくつかの発達の捉え方であったり

いくつかの団体の違いであったり


ほんの些細な食い違いが

たくさんの不幸や後悔を

生み出すことを


そろそろ

気がついてもいいころだと

思うのです


誰のために何をするのかと・・・

「今日が人生最後だったとしたら、
  今日やることは本当にやりたいことだろうか?」
            (故スティーブン・ジョブズ)


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膜タンパク質「IL1RAPL1」と脳神経ネットワーク形成

学会誌に発表された論文です。
詳しくはこちら マイコミジャーナル

近年このようなエポックメイキングな研究発表が増えていますが、増えるばかりで臨床的にはまだまだであることが現実です。早くても数年以上待たされることになります。

自閉症スペクトラムの原因が脳神経ネットワークの形成不全であるということ自体がまだ明らかにされていませんが、可能性の一つとしては大いに考えられます。

酵素欠損が原因で起こっていた筋ジストロフィーの一種「ポンペ病」が「マイオザイム」の開発で劇的な治療効果をあげたように、自閉症スペクトラムもそのようになってほしいと願っています。
もちろん、そんな夢が現実になるまでは、日々の地道でていねいな支援を積み上げていきたいと思っています。

これは余談ですが、「マイオザイム」開発は「小さな命が呼ぶとき」という映画になっています。


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大藪秦氏の「共同注意」論

大藪秦氏は、共同注意について3つの分類を行っている。そのひとつに「構成形態からの分類」がある。

「構成形態からの分類」では

1 前共同注意:「情動の通底的(基本的なところで共通する)現象」と「新生児模倣」

2 対面的共同注意:視線が合う、見つめ合うことができる。生後2か月から6か月に出現。

3 支持的共同注意:相手の視線がどこを向いているのかを追跡して、同じ方向を見たり、対象物を注目したりする。このことにより対象を注目することを獲得する。5・6か月以降出現

4 意図共有的共同注意:支持的共同注意における三項関係をより緊密なものにして、大人の見ている対象物に興味を持つだけでなく、どのように大人が対象物と関わっているかを見てそれを模倣しようとする。この時期に身振り(指差しなど)を使って大人の注意や行動を要求しようとし始める。9~12か月

5 シンボル共有的共同注意:言語的シンボルの使用。対象物だけでなくそれを表現するシンボルを大人と共有できるようになる。15~18か月

の5段階があるとされている。

この分類を参考に、子どもの「共同注意」の発達レベルが現在どこにあり、支援のスタートをどこからはじめるべきなのかを明らかにしていくことは有効だと思います。

支持的共同注意前後の段階のお子さんに必要なことは、やはりバーバル(音声言語)は補助的なものにして、写真や絵カードなどを用いて、互いの共同注意を確認し合えるような活動が大切であるといえます。


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「三項関係」

地元のNPO法人が主催する発達支援講座で、北海道教育大学釧路校の二宮信一先生の講演を聞きました。具体的な「ココロとカラダほぐしあそび」については先生の著書を参考にしていただくことにして、この講演の中で印象的であったことを紹介します。

「三項関係」について

「三項関係」という言葉は自閉症スペクトラムがどのような障害であるかを学ぶ時に必ず出てくる言葉です。

一般に自分と相手との関係を「二項関係」といい。たとえば「母が子を見る・子が母に見られる」「子が母を見る・母が子に見られる」という1対1の関係のことです。

「三項関係」はこの1対1の関係に対象物が加わるものです。

私の今までの理解は、

母と子の前に犬がいる時、母の指さしや「ワンワンね」の声かけに対して子が犬の方を向き「ワンワン」ということである。自閉症スペクトラムの子はこの「三項関係」が築きにくい。

という程度のものでした。講師は奈良女子大学の浜田先生の「三項関係」の知見を紹介され、

子は母の目の方向で何を見ているかを理解する。このことによって「名づけ」ができる。1才ごろになると子は母が対象物を見ているかどうかのチェックを入れる。また、その対象物とどのように関わっているかを見る。

対象物がコップの場合、物体であるコップの中にはコップの意味はない(単なるガラスの筒のようなもの)。人の行為(コップで水を飲む)の中に意味がある。

母が対象物を見ているか、また対象物とどのように関わっているのかに対して関心を持ちにくい時、「三項関係」は成立しにくい。

つまり、対象物は見えているが、対象物との関わり方を見ていない、つまり対象物の持つ意味を獲得することができない。目的的にとらえることができない。

ミニカーを車のおもちゃとして遊ぶのではなく、タイヤをクルクル回し、キラキラするものとして遊ぶ理由がこれで分かります。

私たちの身の回りの物すべてに私たちは意味を持たせています。しかし、「三項関係」が築きにくい子どもにとっては、意味を持っているものが大変少ないと言えるのです。

浜田先生はこれを「無意味の海」に浮かぶ数少ない「意味の島」と名付けています。

「無意味の海」という、わからない世界の中で生きている子どもたち、数少ない「意味の島」しか持っていない子どもたちが自閉症スペクトラムの子たちだといえます。

この小さな小さな「意味の島」に乗っていることを、私たちには「こだわり」といっているということに気づきました。

意味の島に乗れない子どもは、

今、ここで起きていることがわからない。

本人は常に不安の中にいる。

不適切な行動をしているのではない。それは、「とんでもない」想定外のことが日常的に起きていることへの本人なりの対処である。

時間・空間・人間関係・ルール・形式などの見えないものを、わかるように提示されることで理解できるようになる。

このような理解を広めていくことと、「三項関係」の築きにくさを補完するための取り組みを続けていくことが大切であると思いました。

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R入門 その3

R入門 その3

仮に、「VMI」のデータを以下のようにすると

>VMI<- c(“114”,”114”,”107”,”77”,”131”,”86”,”131”,”114”,”121”,”77”)
「VMI」は変数です。「c」はcombineでこの10個のデータを結合させるということで、
「<-」は一まとまりにしたデータを「VMI」という名前の倉庫に入れるということです。

データの表示:
倉庫に入れたデータを表示するのは、
> VMI
でOKでしたね。
> table(VMI) と入力すると  度数が表示されます。
また、
> hist(VMI)と入力すると   ヒストグラムを描くことができます。

平均:
合計は sum()  データの個数は length()という関数ですから
>sum(VMI)/length(VMI)
で平均が出力されますが、mean()という平均を求める関数もあります。
分散・標準偏差:
データのばらつきを見るときに、「分散、標準偏差」があります。
分散は各データの値から平均を引いた値(平均からの偏差)を二乗しその合計をデータの個数で割ったもの(標本分散)とデータの個数-1で割ったもの(不偏分散)があります。Rではvar()  が不偏分散の関数です。標本としてデータを扱う場合は不偏分散を使うことが多いようです。 
標準偏差は不偏分散の平方根の値です。関数は sd()です。
平均偏差:
上に述べた「平均からの偏差」の絶対値の平均を平均偏差といいます。Rでは
>mean(abs(VMI-mean(VMI))
となります。absは絶対値を求める関数です。
標準化:
標準化とは、平均と標準偏差がある特定の値になるように変換することで、変換された得点を標準得点といいます。平均0標準偏差1になる得点をz得点といいます。Rでは
>VMIz得点<-(VMI-VMI平均)/VMI標準偏差 
で計算できます。
偏差値:
偏差値とは平均50、標準偏差10になるように標準化した標準得点です。
偏差値はz得点×10+50で求めます。

2つの変数の記述統計について

量的変数どうしの関係のことを相関、質的変数どうしの関係のことを連関といいます。
散布図はRでは
>plot(VMI,WISC)
で図が出力されます。もちろん事前に変数「WISC」にデータが入っていることが前提ですが。
変数xが大きいほど変数yも大きい傾向にあることを正の相関といいます。
変数xが大きいほど変数yは小さい傾向にあることを負の相関といいます。
変数xの大小の変化と変数yの大小の変化の間に関係はないことを無相関といいます。

共分散:共分散は「平均からの偏差の積の平均」です。Rではcnv()という関数を使います。
相関関数:共分散を2つの変数の標準偏差の積で割ったものです。これにより測定単位の影響を受けなくなります。Rではcor()という関数があります。相関係数が0に近いほど無相関であるといえます。
数値での評価は以下のようになります。

相関係数       評価 
±0.2     ほとんど相関なし
±0.2~0.4   弱い相関あり
±0.4~0.7 中程度の相関あり
±0.7~1.0   強い相関あり

ファイ係数:1と0の2つの値からなる変数(二値変数)に対する関係係数です。相関係数と同様な解釈をすることができます。1か0で表現した2つの変数をcor関数を使って算出します。

クロス集計:度数を表示するtable関数に2つの変数を入れるとクロス集計表ができます。

以上が手元にデータがある場合の分析についての主なものです。
統計の本質は手元のデータの向こう側にある母集団を想定し、それについて論議していくものであると思いますが、今私が扱うデータとしてはここまでで十分なので、入門編としては今回で終了します。

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R入門 その2

R入門 その2

前回の補足:

seiseki2というCVSファイルの読み込みは

> 成績2 <- read.cvs("seiseki2.cvs")  です。

関数を作る:

Rではユーザーがオリジナルの関数を作ることができます。

function()という関数を使います。当然他の人の作った関数も使えます。

http://www.okada.jp.org/RWiki/?RjpWiki

にはたくさんの関数が紹介されています。

Rcmdrのインストール:

パッケージのインストールは「パッケージ」「パッケージのインストール」「CRAN mirror」は日本のミラー(Aizu,Tokyo,Tsukuba)のいずれかを選びます。「Package」のダイアログボックスから必要なパッケージをインストールします。

Rcmdr(Rコマンダー)はRにGUI機能を追加するパッケージです。SPSSほどではないにしてもマウス操作で分析ができるようになります。上記の方法で「Rcmdr」をインストールします。その後画面に従うと「Rcmdr」に必要な数十のパッケージをインストールします。数分かかりますが心配しないでください。

> library(Rcmdr)

でRコマンダーが使えるようになります。

次回は「データの解析」についてです。

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R入門 その1

今更、心理統計をやるとは思いませんでした。どうせ勉強するのなら、このブログにまとめることで一石二鳥を目指します。しかし、まったくの素人ですので内容の保障はご勘弁を!

まずはフリーソフトRの入門編

なぜRか:

フリーソフトであること。個人的に10数万円するSPSSやSASは買えません。Rに関する日本語でのサポートサイトや書籍が充実していること。

R自体のプログラムコードが公開されているため、信頼性の高いプログラムになっている。 Excelの関数よりも信頼できるそうです。GUIは弱いがRコマンダーというパッケージを導入することである程度補うことができる。基本的にはプログラミング言語としての要素が強いため、「再現性」が高い。

Rの導入:

http://cran.md.tsukuba.ac.jp/   CRANのミラーサイトからダウンロードする。現在の最新版はver2.7.2だと思います。

インストール中に使用する言語は「Japanese」を選んでください。

コンポーネントの選択では「MessageTranslations」にチェックが入っていることを確認。

あとは、「次へ」「次へ」・・・でOKです。

Rのはじめのいっぽ:

デスクトップのRのアイコンをWクリックでスタート

「>」プロンプトに入力することでRは返答します。

この段階で日本語が文字化けしていたら「編集」「GUIプリファレンス」「Rguiエディタ」「Font」で日本語のフォントを選びましょう。

> 4+5   と入力すれば 

[1]  9  と返答します。

> sqrt(25)  であれば

[1] 5 と帰ってきます。sqrtは平方根を求める関数です。

累乗であれば「^」を使います。

基本統計は「summary」で結果が出ます。

>summary(c(複数個の , で区切られたデータ))

で、最小値・25%値・中央値・平均値・75%値・最大値が出力されます。

Rのデータ:

Rは変数名に全角を使えますたとえば「成績」と打って以下のようにデータを打ち込めば、次回「成績」と入力すれば打ち込んだデータが出てきます。(これは実際にやった方が分かりやすいです)

> 成績<- C(複数個の , で区切られたデータ))

当然、行列表示の扱いもできます。matrixという関数を使います。

外部のデータファイルもCSV形式で保存されたものを読み込むことができます。

その2に続きます。

 

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発達論的アプローチによる発達支援

発達論的アプローチによる発達支援

「発達の最近接領域」
ヴィゴツキーは子どもの知的発達の水準を2つに分けた。一つは子どもが単独で問題解決できる発達の水準と、もうひとつが単独では解決できないが、何らかの支援・援助や共同によって解決できる発達の水準である。この水準は次の時点で子どもにとって「現在の発達水準」になるという意味で「発達の最近接領域」と呼んだ。
支援や援助は、子どもが少しでも自分自身で判断し、自分自身の意図で活動ができるかを支援・指導する側が考えることである。この観点がない手助けは効果がないばかりではなく、子どもの主体的で意図的な行動を妨害することにもなる。子ども自身の力で次のステップに登っていくためのヒントを与えるような支援が望まれる。

「足場づくり」
大人が子どもの発達に合わせ、子どもの問題解決を援助していくための方策。「足場作り」の機能として、課題への参加、行動の範囲を狭め課題を簡略化する、注意対象の持続、フラストレーションのコントロールなどがあげられる。
「足場作り→足場はずし」はじめは大人が見本を見せて楽しませる→次に子どもと一緒にやって楽しませる→最後に子どもだけでやらせる。足場を徐々に築き、徐々にはずしていくことは子どもが主体的に人や社会・文化と関われるようになることを支援していくということである。

具体的な支援を考えるときに、この2点を意識して取り組みたいと考えています。
「最近接領域」はスモールステップでの課題提示などで、指導の方法としても現在定着していると思いますが、少人数のグループなどの活用も視野に入れて取り組んでいくことも有効であると思います。

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